950ポンド(430キロ)、ファイトタイム2時間31分
2011年11月01日 公開

6日間の釣行の最終日、終了間際にランディングできたのは950ポンド、約400キロのマーリンでした。
ファイトタイム2時間31分。
驚異的なファイトタイムです。
通常、フッキング後、マーリンは、急激な方向転換をしたり、ジャンプをしたりして、フックを外そうとします。その一瞬の隙をついて、アングラーはファイトの主導権を握り、どんなに大きな巨体でも30分程度でランディングまで持ち込むことが出来ます。
1000ポンドクラスのマーリンでも然りです。
しかし、このマーリンは、2時間半の間、一度も水面に姿を現すことなく、終始、水中からアングラーを翻弄し続けました。
アングラーは、ファイトの後半、終始、30キロ近いドラグでプレッシャーを与え続けましたが、それでも、いとも簡単に100メートル以上ある130ポンドのトップショットを3度も完全に引きずり出しています。
ファイトの途中、ラインがテールに絡まって、ジャンプできなくなるということもありますが、どうやらラインがテールに絡まっているようでもなさそうでした。
最終的にマーリンが力尽き、船べりに巨体を横たえたとき、この長時間のファイトの原因が判りました。
この写真でも判るように、フックがボディーに刺さらず、ビルを一巻きしてラインに掛かっているだけだったのです。
この状態で、通常のマーリンのようにジャンプしていれば、たぶん、フックは簡単にマーリンの口元から弾き飛ばされていたでしょう。
終始、水中を泳いでいてくれたのが幸いしました。
キャプテンが、力で魚をねじ伏せるようなファイトを好まず、魚の力を利用してランディングまで持ち込むといった操船を心掛けるタイプだったのと、アングラーが、2時間半もの間、時には30キロ近いドラグ設定で、魚にプレッシャーを掛け続けたことも、この釣果に結びつきました。
しかも、2時間以上もファイトしていては、ランディングするまでにサメに襲われてしまうことが殆どですが、フッキングによる出血がなく、サメからの攻撃を免れたことも幸いしました。
実際に、アングラーの小川さんは、8年前、グランダー(1000ポンドオーバー)マーリンをフッキングしながら、ラインがテールに絡み、今回と同じように2時間以上のファイトの末に、サメに魚を奪われています。
3日間、ノーフィッシュの後の950ポンドマーリン。
大型のゲームボートを使い、最新鋭のトローリングタックルで釣りに望んでも、マーリンが産卵行動に入ってしまえは、全く釣れなくなります。ようやく魚とのファイトに持ち込むことができても、いろんな「ラッキー」を呼び込まなければ、この釣果には結びつきませんでした。
「ラッキー」を「当然」とするところに、釣りの面白さがあるわけですが、それでも、自分達の力だけではどうすることもできない部分が残ります。
この「どうすることもできない部分」を自分の手元に引き寄せるため、人間は、太古の昔から祈ってきたのかもしれません。
昔、「漁 (or 猟)」は命を繋ぐ行為だったわけですから。
ただ、ただ、感謝