ブラックマーリン、1200ポンド
1200ポンドマーリン
先月28日より船中5泊6日で出かけたマーリンフィッシングでのファイトシーンです。
アングラーは小川様。
6年前より、毎年、グランダー、1000ポンド(453キロ)オーバーのマーリンを追い求めて、この時季、ケアンズにお越しになります。
グランダーがフックアップしたのは、今度が3度目です。
最初の年、2003年は、ラインがテールに絡まり、身動きが取れなくなって、2時間半あまりのロングファイトとなり、最後はシャークバイトに遭って、頭だけしか上がってきませんでした。このときは推定1100ポンド。(詳細はこちら)
2度目のグランダーは2006年でした。このときは、2つの餌に同時にバイトして、ライン同士が絡まってしまい、あえなくラインブレイク。このときは推定1300ポンドクラスでした。(詳細はこちら)
そして、今回が3度目です。
小川様は、グランダーを仕留めれば、ギャフを打って、検量したいとの意向でした。
そして6年目にして、最大のチャンスがやってきたわけです。
当然、その姿を確認して、1200ポンドサイズだとわかれば、クルーはギャフモードに突入です。
ワイヤーマンは経験豊富なデッキハンドのポーリンが当然受け持つことになるわけですが、「ギャフマンは誰?」という疑問が、当然、私の脳裏に湧いてきました。
キャプテンのスコット、そのとき、慌てず騒がず、「お前、やれ!」と、私に直々のご指名でした。
「え、スコット、俺がやるの? スットコドッコイもいい加減にして。」と軽くギャグでかわそうかとも思ったのですが、顔が真剣だったので、キャビン横のデッキに寝かせてあるギャフに手を伸ばしましたよ、ホント。
「正直なところ、俺でイインカイ?」と思いつつ、チャンスを待ってました。
途中、デッキハンドのポーリーンに「ギャフって、この場合、どこに打つの?」と、正直な疑問を投げかけて見たのですが、「背中ならどこでも!!」という、軽い答え。
そこで、動画の最後のシーンになるわけです。
今、動画で見れば、ギャフを打てるチャンスはいっぱいありましたが、何せ、下手にギャフを打って逃がしてでもしたらと思うと、そう簡単に打てませんって。
結局は、ヘッドシェイクでフックがはずれ、ボート上にランディングすることは出来ませんでした。
後でスコットとギャフを掛ける方法をいろいろ確認しましたが、スコット曰く「一番簡単なのは、ギャフを掛けたら、ロープをさっさとクリート(ロープを固定する船具)に結わえて、キャビンの中に逃げ込むのが一番。グランダーなんて、ギャフを掛けたら、暴れまくって、どうなるか、解らんからな。」なんて言いながら、笑ってました。
この話を、後日、友達のフィッシングガイドに話しをしたら、「俺も、最初にグランダーにギャフを掛けるとき、キャプテンから、とりあえず、ライフジャケットを着てからギャフを打てって言われたよ。後で聞いたら、ギャフのポールが体に当たって怪我されると困るからって言われた。」って言ってました。
最初にそれを言ってくれよ。
ここからは、真剣な話です。はい。
今回のファイトは、今までの記憶の中で、最高のファイトでした。
動画の時刻表示でもわかるように、バイトしてからランディングするまでに僅か22分のファイトです。
この22分の間、マーリンはアングラーサイドに、休む間を殆ど与えてくれませんでした。終始、ファイトし続けました。
これまでのサイズになると、ファイト中、どこかで膠着状態が出来るものですが、このマーリンは、終始、我々を翻弄し続けました。
最後、フックを振り切って水中に消えてゆくまでに、2回、ボート間近まで寄せられましたが、その都度、30キロ近い負荷を掛けたリールから、いとも簡単にラインを100メートル以上、引きずり出しています。
そのマーリンに対して、アングラー、キャプテン、その他のクルーが、じわじわと、しかし確実に間合いを詰めてゆきました。最終的には、ランディングした瞬間のヘッドシェイクでフックが口元から外れてしまい、ギャフを掛けるまでに至りませんでした。
アングラーの小川様には失礼かもしれませんが、私自身としては、それでよかったように感じています。
実は、その魚体がボート間近で翻った際、その背中に、すでに3個のタグが打ち込まれているのを確認しています。 この日までに、このマーリンは、3回、生への執着を見せたことになり、この日で4回目のファイトでした。
また、いつか、この海で、この魚と向き合い、生を閉じることが現実のこととなるような気がしています。
<== 「お前には、ギャフマンは無理だ」、と思った方はクリック、クリック!! (一応、私が最初にクリックしておきました。)